奥日光 第二部
冬期の山行には少なくない危険・リスクがあります。事前に調査のうえ、自分の経験と体力を考えて、無理のない山行計画を立て、ご自身の判断と責任で登山をおこなってください!
日光湯元温泉スキー場
少々積雪のある日光湯元温泉スキー場を通過して、外山を目指して標高を上げていきます。
ハイキングに好適な山と知られる日光白根山ですが、この時期は日光湯元からハイキングに向かう登山客はほとんど見られません。
目につく範囲では先行者等は期待できませんので、行楽で行くハイキングとしては少し難易度は高めです。
日光湯元温泉スキー場の奥から登山道に入るのですが、この登山道ある程度の標高まで滑り止めが備えられている木道のはずなのですが、写真のとおり一部が完全に倒木などで倒壊しており、床板が数十mに渡り抜け落ちていた場所もありました。
登山客が多い山域でも、ハイシーズン以外は整備されないためか、コースにそれなりの不具合というのは生じるみたいです。
ただ、ここまで利用しずらくなるまで荒廃しているとは予想していませんでした。
ここで引き返すのも決して間違いではないと、個人的には思います。
あまり役に立たなかった木道を超えると、木の根が張った一般的な登り道が姿を現します。
ピンクのマーカーに従って尾根を目指します。
この時期、山の斜面では霜柱が成長しており、一歩ごとに霜柱を踏み潰しながら進まなければならないため、推進力が有効に使えず、かなり体力を消耗します。
外山稜線
尾根に到着。
尾根には先行者が残していってくれた足跡があり、ちょっと心細さを解消してくれます。
人間社会の喧騒が嫌で山に入るのに、人自体が居なくても、誰も居ないと分かっていても、人間の居た痕跡があるだけで安心感が湧くにはちょっと矛盾していますよね。
あまりよくはありませんが、足跡を追って白根山方面へ。
天狗平
天狗平到着。
しっかりと湯元と日光白根山を指示しています。
きっと足元には登山道があるとは思いますが、今は雪の下で登山道の存在はとても希薄です。
冬を迎え、木々は完全に落葉しており、森の中とはいえ非常に明るいです。
普段、平地で暮らしているとここまで完全に落葉している森を歩くことはまれなので、結構新鮮な気持ちになります。
湯元への道を示す道標と男体山だと思われる山。
実は男体山はこの記事を書いている時点では登ったことがないので、いつか登ってみたいとは考えています。
前白根山
そして、 前白根山の稜線を超えると日光白根山が姿を現します。
溶岩ドームにより形成されたどっしりとした堂々とした山体と、その袂にある堰止湖の五色沼との対比が素敵です。
この時期、まだまだ寒さが緩いためか、五色沼は完全には凍結しておらず、周辺から薄氷が張っているのも悪くないと感じました。
十分な装備と時間的な余裕がないことから、日光白根山への登頂を諦め、五色山を経由して下山することにしました。
日光白根山に再び訪れることを誓って、下山開始です。
寒さが緩いといっても、北関東で2500mを超える標高なので、昼でも樹氷も楽しむことができました。
稜線付近では樹氷が発達していましたが、奥日光温泉湯本はまだ雪や氷で覆われていないので、対比が非日常感を一層強めます。
所謂「エビの尻尾」と呼ばれる大胆な造形の樹氷は見えませんでしたが、稜線上の樹木がその繊細な造形のまま薄く氷で覆われ、白の樹氷と青の空のコントラストの抜けが大変美しいです。
五色山
こちらが五色山。
前白根山の北側に位置するため、南側から見ているわけですが、日当たりがいいためか、笹薮などの低木の緑色の部分が結構残っています。
前白根山からの日光白根山もよいのですが、五色山方面から眺める日光白根山も重々しい迫力があって良いです。
前白根山から五色山の稜線でたっぷりと日光白根山の魅力を堪能したとして、山行では毎回訪れる本格的な下山の開始です。
お祭りに終わりが来るように、この非日常との別れは、何回体験しても寂しさを感じずにはいられません。
日光白根山を五色山から奥日光湯元に向けて下る際に気を付けなければならない点は、たくましく茂った笹薮であるという声は結構聴く話です。
積雪していない時期でも藪漕ぎに辟易したとの山行記録もあったことから、慎重に進みました。完全に積雪で覆われていなかったためか、比較的トレースは分かりやすい形で残っており、道迷いなどを起こすことなく順調に下山することができましたが、もっと雪が深ければ難易度は上がっていた可能性もあります。
国境平
人里が近く、有名な山域であることからところどころでピンクリボンによる道標が設置されています。
国境平の分岐を奥日光湯元に向かいます。
かなり急激に標高を下げていきます。
人里に近づくごとに、道路からの自動車の走行音などが聞こえ、非日常感がどんどん薄れていきます。
ただ、山陰の薄暗いトレースの薄い部分がある登山道を歩いていると、人里に近づいていることを確信しながらも遭難してしまうのではないかと心細くなる時があります。
奥日光で笹薮を漕ぐのに苦労するという登山記録をたまに見るのですが、確かに立派な笹薮がありました。
ただ、歩いているコースはトレースが本来の地面から窪んでおり、コースは分かりやすかったですが、雪が溜まっており、実際に踏む地面の高さが分かりにくく少し戸惑いながら進みました。
トレッキングポールなどがあれば違ったかもしれませんが、この時は残念ながら携行していませんでした。
割と開けた平地を進みます。道幅が広いので、暖かい季節ならそれなりにトレッキングを行う人の通行が多いのかもしれません。
積雪も少なく、ここまで下ってくると、なんとも言えない安心感が湧いてきます。
五色山ではあれほど日常への帰還を残念がっておきながら、人里まで戻ってくると毎度のごとく帰ってきたことを喜んでしまいます。
奥日光湯元
完全に奥日光湯元まで下山しました。
登山道の入り口は温泉宿の端というよりは、雪のないスキーゲレンデの端に繋がっているような感じでしたので、温泉街の中心にどう向かえばいいか、ここで初めて迷いました。
ホテルや旅館の裏口が見えていたので、宿泊施設の敷地内に迷い込まないか心配しながら、生活音大きい方向に適当に進み、バス停まで到達しました。
そこまで遅い時間ではなかったため、奥日光湯元の日帰り温泉によって、体を温めて帰路につきました。