黒部・下ノ廊下 第四部式デザイン研究所 日誌
山行
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黒部・下ノ廊下 第四部

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少しは文章がうまくなりたい素人の山行「黒部・下ノ廊下その4」です。

第四部では白竜峡から十字峡を通ってS字峡までを写真とともに紹介します。

「黒部・下ノ廊下」は毎年関係各位により大規模に登山道が整備されますが、転落すれば生命にも関わることから、俗に「黒部では怪我をしない(死亡する結果となることを意味する)」とされ、それなりの体力と装備を要する登山道です。遊歩道ではありません。事前に調査のうえ、自分の経験と体力を考えて、無理のない山行計画を立て、ご自身の判断と責任で登山をおこなってください!

紅葉狩りに来たはずが

黒部・下ノ廊下_2018

空も谷も広いですが、紅葉はまばらにしか進んでいません。

ここまで来るとだんだん高度に対する感覚が麻痺してきます。

黒部・下ノ廊下_沢のガレ場_2018

沢を渡ります。

沢にあるところは植生がないため、地面がむき出しとなっており、沢に沿って落石が確認できるのですが、落石の大きさを考えると速く通過するに限ります。

黒部・下ノ廊下_2018

観光地ではないので完全に整備されているわけでもなく、写真に写っても欲しくない草木の端が映り込んでいます。

黒部・下ノ廊下_2018

上を見上げると不安定そうな巨岩が何とか岩壁にへばりついています。

地震が起きたらどうしようなどと不謹慎なことを考えるのは、研究員がネガティブ思考だからです。

崩落地の丸太橋

黒部・下ノ廊下_2018

先行者をモデルに撮らせてもらいます。なかなか立派な丸太橋を渡ります。

ここは近年、谷の一部が滑って崩落した場所で、この丸太橋がある場所にも、つい数年前まで地続きの歩道が通っていました。

黒部・下ノ廊下_濡れる覚悟を求められる沢_2018

足場は不安定で滑りやすく、半身がずぶ濡れになるので速く通過したい気持ちはあるのですが、固定ロープをしっかりと掴み確実に進みましょう。

濡れることが不可避は場所他にも所々あります。

十字峡

黒部・下ノ廊下_十字峡広場_2018

十字峡広場は二段の広場になっているのですが、下段の端に赤いペイントマーカーの矢印矢印があります。

ここから、十字峡を近く見ることができるステップに行くことができます。

道はかなり急なので荷物は十字峡広場に残していくことをお勧めします。

また心許ないですが固定ロープも設置されています。

ステップは二段になっており、下段は川のすぐ上まで行くことも可能ですが、最も川に接近する場合は大きな岩の上を下らなければなりません。雨の降った後にはそこまで行くのはお勧めできません。

黒部・下ノ廊下_十字峡ステップから_2018

上段のステップから十字峡を眺めます。

写真ではわかりにくいですが、確かの十字の形になっています。

黒部・下ノ廊下_十字峡_2018

十字峡吊り橋を見るとかなり高い場所にあることが確認できます。

歩道自体は吊り橋より高い位置を通過していますので、十字峡を見る場合この高さを往復する必要があります。

黒部・下ノ廊下_十字峡吊り橋_2018

十字峡吊り橋を渡りきったところから撮っています。

渡し板の幅は50㎝くらいで、よく揺れます。

下には音を立てて波で白く泡立った流れる川が流れているので怖さも倍増です。

黒部・下ノ廊下_十字峡吊り橋_2018

十字峡吊り橋を遠方から見てみます。

十字峡吊り橋は歩道より低い位置に設置されているので、一旦梯子を降りて橋を渡り、登り返して歩道の高さに戻ります。

黒部・下ノ廊下_木道_2018

丸太橋も段々慣れてきますが、岩壁に丸太を打ち込み、それを片持ち支持としてその上に丸太を束ねた橋を渡すという豪快な造作です。

打ち込んだ丸太が痩せて支持材が抜けていかないかと疑問なのですが、毎年整備されているので問題ないという考えなのでしょうか。

黒部・下ノ廊下_2018

上流に比べあまり紅葉が進んでいません。

2018年は暖かく紅葉の進みが遅いとは言われていましたが、だからと言って阿曽原温泉小屋は営業期間の延長などは考えてはいなかったようです。

黒部・下ノ廊下_2018

谷が屈曲してブラインドコーナーがあると、対岸の壁と合わせて結構閉塞感があります。

黒部・下ノ廊下_細い歩道_2018

ネットなどではよく紹介されているポイントです。

足場の狭さとプラインドコーナー、そそり立つ絶壁と歩行者がいればかなり画になる撮影スポットです。

黒部・下ノ廊下_2018

谷側に植物が生えていると何か安心するものがありますが、決して安全ではありません。歩道から足を踏み外すと這いあがることは困難です。

黒部・下ノ廊下_半月峡_2018

コントラストが残念なことになっていますが、何処に歩道が通っているか分かりますでしょうか。画像左側の暗い部分に歩道が穿たれています。

黒部・下ノ廊下_半月峡の断崖_2018

拡大してみるとこんな感じです。

歩道の淵に置かれた丸太は歩行者の転落を防いでいるのか、歩行者が歩道の淵を踏み歩道を崩壊させるのを防いでいるのかはわかりませんが、細かくも手間がかかった仕事です。

半トンネルの歩道の天井部分を見てみると形状が結構いびつで均一ではありません。コンクリートなどの均質な材料を掘り進んでいるわけではないので、掘っていると上部が崩落してしまったのだと思います。

黒部・下ノ廊下_2018

安全を第一に掘り進めたとは思えないくらい、「とりあえず掘っておきました」感があります。もともとは調査用の歩道なので何とか通行できれば問題ないという施工思想でしょう

歩道の一部は鉄材で補強されている箇所がありますが、腐食せずに残っている場所はいいのですが、腐食が進んでほとんど肉がない鉄材の補強もあることから全面的に安心して身を任せることは難しいです。

作廊谷合流点

黒部・下ノ廊下_作廊谷合流点資材置場_2018

作廊谷合流点資材置場。

歩行者の安全を図る目的で設置されている番線の材料が置かれていました。

ここは比較的広いので休憩等に十分活用できるかと思います。

黒部・下ノ廊下_作廊谷合流点資材置場_2018

表示が正確なら、黒部ダムから13.5㎞程歩いてきたことになりますが、緊張の連続で距離感はあまり感じません。

黒部・下ノ廊下_歩道から谷底を覗く_2018

設置されている木製の橋から谷底を見てみると目もくらむ高さなのですが、高度感に麻痺しているので、高所恐怖症の研究員がかなり恐怖感が低下していました。

本来は危険な場所なので、冷静に考えれば恐怖感を感じないこと自体が恐怖です。

黒部・下ノ廊下_黒部川第四発電所を遠方に視認_2018

深い谷に延々と続く歩道。

もっと画角が広いカメラ欲しくなる光景でしたが、持っていたカメラではこの程度が限界でした。

右岸に何か人口物があることを確認することができます。

黒部・下ノ廊下_落石が怖すぎる谷_2018

沢なのか、谷なのかは不明ですが、水が流れていくところでは落石の痕跡が残っています。

沢の上部から落ちてきた落石の大きさは落石と呼ぶには大きすぎる大きさです。

歩行するにはありがたい木製橋ですが、落石の大きさを考えると心許ない印象を持ってしまいます。

黒部・下ノ廊下_歩道の様子_2018

小さい谷までも橋渡しされてショートカットされることはなく、全ての谷部を谷の壁に沿って進みます。

距離とすればわずかな距離も大きく回り込むこととなります。

黒部・下ノ廊下_2018

谷の対岸が見えているのですが、谷の奥まった箇所が視認できるまで歩く距離が分からないのは地味に精神的な負荷が発生します。

黒部・下ノ廊下_歩道の様子_2018

上流側を振り返っています。

この半トンネルの岩壁ですが、通行時にはあまり気にならないものの遠目から見てみるとその張り出しの大きさと、上部と下部のアンバランスさに気が付きます。

ここに歩道を作る前はどんな形状だったのか少し気になります。

S字峡

黒部・下ノ廊下_2018

谷が深く、狭窄し、谷が曲がりくねっていることから「S字峡」と呼ばれる場所にが見えてきました。ただこの場所からでは何故「S字峡」と呼ばれるのかはわかりません。

写真は残念ですが、水平に設けられた歩道がはっきりと確認できます。

拡大すると先行者が何とか確認することができますが、足を踏み外したら滑落ではなく、転落となる事は確実です。

ここまで来ると引き返すことは考えられないので、行くしかありません。

研究員は高所恐怖症なんですがね。

黒部・下ノ廊下_黒部川第四発電所_2018

何か秘境に似つかわしくない大きな建造物が見えてきました。

谷を何かワイヤーらしきものが渡っているのも確認できます。

黒部・下ノ廊下_通行者_2018

こんな秘境にも関わらず、後続を見るとけっこな人数が通行しています。

この方たちはこの朝黒部ダムを出発した、黒部川を下るルートを取った人たちです。

日が高いうちに阿曽原温泉に到達するためには、9時頃までには黒部ダムを出発する必要があるため、特定のポイントを短時間で多くの歩行者が通過することとなります。

黒部・下ノ廊下_S字峡_2018

この角度からなら何故「S字峡」と呼ばれるかも納得できます。

確かに「S字」に見えるのですが、名前が安直すぎる感じが否めません。

黒部・下ノ廊下 第五部
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ABOUT ME
研究員
研究員
式デザイン研究所
平地では好山病に苦しめられ、高地では高山病に苦しめられる高所恐怖症の山歩く人。 登山初心者として身の丈に合った山を歩きながら、時折写真を撮影。 地方出身の生粋の田舎者・芸術系学部卒・主に工場勤務(バックオフィス含む)。 大学卒業後は、北関東から九州北部の工場勤務を転々としながら、休みの日に山を歩くことで精神的なバランスを維持している典型的な仕事できない勤め人。薄給にもかかわらず物欲に支配され、資本主義の罠だと理解しつつも抜け出せない悲しい現代人。
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