黒部・下ノ廊下 第三部
第三部では内蔵助谷から白竜峡までを紹介します。
ひっくり返った流木
内蔵助谷で小休止後、 しばらく進むと大きな流木がひっくり返って漂着していました。
ペイントマーカーに従えば、流木に沿って登れとのこと。
傾斜は急でしたが、足掛かりや手掛かりは十分でしたので、登るのは簡単です。
流木脇を登り終えたところ。なぜこのような姿勢で漂着したのか不思議です。
この高さまで黒部川の水位が上がってくることがあるのでしょうか?
谷底が狭窄しているので、川の流れが渦を巻いていました。
高さはないですが落ちたくはないので、あまり覗き込まないようにしておきました。
ごつごつした岩がある河原に出ます。写真ではわかりにくいですが転がっている岩は人の背丈程もあるので、足元のトレースに注意しながら歩きやすいルートを確認しながら進みます。
谷底の幅が広くなり、開けた場所に出ました。
左岸にこれから歩いて聞く歩道が刻まれているのが確認できます。
少し進んで上流側を振り返ってみます。
右側に白いブロックが確認できますかね。小さな家程の大きさがあるスノーブロックが残っていました。
前の前の写真に写っていた歩道に登ります。
歩道の幅は60cmといったところでしょうか。これまでになく道が細くなったのが分かります。
新越沢合流点
「新越沢合流点」の道標を見つけました。
この時点でダムから約7Km。蛇行する谷を歩いているからか距離感が曖昧になり、実感は乏しかったです。
このルート、秘境と称されていますが、ビューポイントにはこうして道標が示されています。
陽が高くなり、谷底にも光が当たるようになってきました。
持っていたショボ撮影機材にはうれしい状況です。
谷底に巨大なスノーブロックが見えます。冬にはこのように谷一面を雪が覆っているのかと想像すると、この歩道を歩けていることがなんか不思議に感じられます。
新越沢の滝
写真で見る限りにおいては得も言われぬ光景です。
複数段の滝、悠々と流れる黒部川、川岸に群生する緑なす植物。
結構気に入っている一枚です。
表から見ると横木も打たれたしっかりした丸太橋なんですが。
側面から見ると造作者の技量を信用して通るしかないという気がしてきます。
実際にはガタついたりしないので、このようなアクセスの悪い場所に限られた資材でこのようなしっかりした造作を設置できることには驚きです。
もしものことを考え、番線には常に手を添えて通行するようにしてください。
歩道は谷の側面に沿って蛇行していますので、ブラインドコーナーとなっている場所も少なくありません。
対岸にも大きな大きなスノーブロックが見えます。
大ヘツリ
写真ではほとんど確認できませんが、ある有名な構造物が見えてきます。
それは大ヘツリの巻梯子。
実は事前のコースリサーチで最も恐れていたポイントです。
自然に削られた場所を進んだのか、人間が無理やり歩道を削り込んだのかはわかりませんが、とにかく感心します。
そして、大ヘツリの巻梯子。
高所恐怖症の研究員は恐怖と緊張でカメラを取り出し撮影する余裕がなかったため、残っている写真はこれだけとなっています。
写真の巻梯子の高さが対比物の歩行者からわかると思います。
この梯子は主に丸太を組み合わせて造作してあるのですが、使用されている丸太が太く、さらに表面が加工されているためツルツルと滑ります。手の小さい研究員はしっかりと掴むのに苦労しました。
ただ、ステップには滑り止めのため切込みが設けられていました。芸が細かいです。
黒部別山谷
黒部別山谷に到着。
この谷に下降して、対岸を登り返します。
両岸には固定ロープが設置されていますが、進行速度は間違いなく落ちるので、歩行者が詰まって、ルートのボトルネックになっていました。
谷に降りたり、登り返したりする際、足元が脆いので落石が発生していました。落石にヒットしたくないのはもちろんですが、落石を発生させたくもないですね。
黒部別山谷の上流を見てみると、ここを登っていくのも面白そうですが、とても技術が伴いそうにありません。
谷を登り返した地点から黒部川上流側を見てみますと、「廊下」「水平歩道」の意味がよくわかります。
谷からの高さはもちろんありますが、谷に穿たれた歩道の心許ない存在感に不安を覚えてしまいます。
もっと引きで黒部別山の方を振り返ります。
なんとも大きな存在感を放っていらっしゃいますが、これでも黒部別山の一部分しか写っていません。
歩いているとつい先に先にと考えてしまいがちですが、余裕があれば振り返って歩いてきた道を確認するといいことがあるかもしれません。
ルート途中には整備用の装備や資材が仮置きされている場所見かけることがあります。広い平地であること多いので休憩場所として最適です。
先行者さんをモデルに写真を撮らせてもらいます。
舗装して柵などが設置されれば観光地として人気になりそうですが、アクセスの起点となる公共交通機関からの距離があまりに長いのが難点です。
また、完全舗装したら黒部川愛好家からものすごい文句が出そうです。
川には巨岩がごろごろ転がっています。
どのように山肌から分離したか想像すると、山は生きているのだと実感します。
白竜峡
白竜峡に着きましたが、川が狭窄し流れが複雑になり、川が泡立って白くなっていますが竜には見えません。
景色は綺麗ですが、相変わらず路は険しいです。
下流に向けて角度があり、浮石はほとんどありませんでしたが、ゴツゴツした岩場であり、一歩一歩考えて歩かなければならない状況でした。
ある方は黒部を歩くと、ガレ場での足の置き方を考える時間が短くなると仰っており、それもあながち間違っていないのかもと思います。
下流側に回って見てみると何となく竜の頭に見えます。
まだまだ続きます。続きは第四部で。